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文也の瞳に浮かんだ表情を見て
藤子の中を悩ましいイメージが次々とよぎった
まだ朝も早いし
旅は始まったばかりだというのに
もう彼の魅力に参っている・・・・
ジェニ達のことを言えない
彼といやらしい事をしている時の事を
考えてしまうなんて・・・・
ダメよ・・・・藤子・・・
今回の旅は治療目的なんだから・・・
ロマンティックなハネムーンのような
旅じゃないのよ
二人の間に刻々と高まっていく何かを
払拭しようと藤子は飛行機の窓から見える
景色を熱心に見た
絨毯を敷き詰めたような
真っ白な雲しか見えなかった
いつも飛行機に乗るたびに不思議だが
今自分は地上からいつも見上げている雲の上にいるのだ
まるで心から浮足立っている
自分の今の気持ちのようだ
そこからも二人は内輪でしか
わからないような冗談で終始盛り上がった
着陸する時に「怖いから手をつないで」と
見え見えの嘘をつく文也に藤子は
クスクス笑いながら応じた
本当に彼は甘え上手だ
兄弟がいたら絶対末っ子でお母さんに一番甘えて
育ったのだろう
運転の荒い早く韓国に着きたい
パイロットのおかげで
着陸した時に機体は激しく揺れ
二人は思わず手をつないだまま
シートベルトをしているにも
かかわらず前のめりになった
おもわぬハプニングは二人の
距離をさらに縮める
まるでジェットコースターに好きな人と
乗っているような楽しさだった
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