幼なじみ

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 金曜日、勉強が終わる頃にチラシを取り出すと、獅子谷は眉を寄せた。 「何でお前がそんなん持ってんだよ」 「一緒に行かね?」  目を細くする獅子谷をそれでもただ誘ってみる。 「お前、そこがどこかわかってんのか?」  言われて首を横に振ると、獅子谷はメガネを外した。  目頭を摘んでダルそうにため息を吐く。 「どうせ順だろ?あのクソ医者が」  舌打ちをしてチラシを指で弾くと、獅子谷はそれを睨んだ。  毎年行かないって言うという渋谷の言葉を思い出す。 「何がそんな嫌なんだよ」 「お前に関係ない」  聞いてみたっていつものようにバッサリ切られた。  それでも俺は諦めない。 「でも、渋谷が『土曜の夕方、十六時にうちの前に集合』って」 「は?」 「だから、明日、渋谷医院に十六時な」  ニッと笑うと机の上をサッと片付けて立ち上がった。  今日まで黙っていたのはただの賭けだ。  急に言って断られないように、ただそれだけ。 「行かねぇぞ!」  それでも断ってきた獅子谷にフッと笑って見せる。 「なら、俺と渋谷で行って来るな?色々話聞けるなぁ」  ニヤリとすると、獅子谷はガンッと机を蹴った。  相当イラついているのはわかる。  でも、ここまで嫌がるのはなぜかも気になっていた。 「お前、関係ないだろうが!」  バンッと今度は机を叩いて獅子谷が立ち上がる。 「花火くらい見てぇじゃん?屋台もあるみたいだし!」 「でもな!」 「夏祭り断られて夏休みらしいこと何もしてねぇもん」  口を尖らせると、獅子谷は舌打ちをしてため息を吐いた。
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