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「圭斗、マジでどったの?」
祐生の言い方にもイラつく。
結局、あの三時間目に席に座ってから地味に腹が痛くて下手に立ち上がれず、六時間目まで授業を受けてしまった。
しかも、寝ようにも眠れず、飯を食う気にもなれずちゃんと座っているとか……あり得ない。
「……今日はどーする?リホから『会いたい』って連絡来てるけど?」
亮雅が隣の席からこっちにスマホ画面を見せてくる。
ハートいっぱいのそれを見るだけで吐き気がした。
でも、イラつきはピークでもある。
女を抱いて発散はしたい。
「リホだと……あいつん家か?」
「だな。あそこは広いし風呂でもヤれるくらいだからよくね?行くか?」
珍しく俺が女の名前を覚えていたことに少し驚いたような亮雅はすぐにニヤリと笑った。
あまり人の気配がない家は好きではないが、俺らが行くなら人数も集まるはずだ。
だが、頷きかけた俺の机にスッと手が伸びてくる。
「どこに行くって言いました?」
白い滑らかな手を付いて微笑んでいたのは獅子谷。
「関係ねぇだろ?」
「業後残るようにお伝えしたのは忘れましたか?」
「知るか!」
「じゃあ、もう一度言います」
ドスを利かせて睨み上げているのに、獅子谷は微笑んだまま顔を近づけてきた。
払おうとした腕をギリッと締められて呻くのを堪える隙にその唇が耳元にやって来る。
「残ってろ。勝手に帰ったらただじゃおかねぇ」
ゾクッとするほどの低い声にイスごと後ろに倒れると、獅子谷はフッと笑みを見せて教壇に戻って行った。
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