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おもしれぇ
「マジで?それはねぇだろ?」
ハハッと笑いながらいつもつるんでいる同中で赤髪の亮雅がタバコを咥える。
俺も手を伸ばすと箱を差し出してくれて、一本口にすると、もう一人大抵一緒の明るい茶髪、祐生がライターの火を差し出してくれた。
亮雅と二人、ゆっくり吸い込んでフーっと煙を吐き出す。
「いや、結構ガチらしいけど?『ピンクキャット』の“レオ”!あの獅子谷って名前怜旺じゃん?」
ライターをポケットにしまって祐生がニヤニヤと笑うのを俺はアホらしいとしか思えなくて、近くにあったイスを蹴飛ばした。
ガタンと音を立てて飛んでいったイスはその先にあった机にぶつかる。
教室の中の空気がピリついたのを感じてイライラした。
「あっぶね!圭斗!当たるとこだっただろうが!」
「当たっとけばちょっとは黙ったかよ?」
鬱陶しくて髪を掻き上げて睨む。すると、
「いや……ごめ……」
ビクッとして祐生は言葉を濁した。
目を逸らす祐生に更にイラつきは増す。
ガタンと音を立てて立ち上がると、
「適当に言っといて、な?」
亮雅はヘラヘラ笑いながら祐生の肩を叩いた。
ほとんど中身のないカバンは自分のと一緒に亮雅が持ってくる。
ペシペシと踵を踏み付けた上靴で音を立て教室を出ると、授業が始まろうが騒がしい廊下を歩いた。
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