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プロローグ
2人がいる部屋は、分かっていた。
扉を押し開けると、まず最初に彼らの死体が目に入る。肩を撃ち抜かれた男と、目をむいて口の端から泡を零している青年が、倒れていた。絶命していた。当然だ。
そうなるように仕向けたのは自分なのだから。
彼らの黒い魂胆には、最初から気がついていた。しかし見張られている可能性も危惧して、演技を続けた。最終的には、全てが自分の思惑に収まった。
「あんたがうまく引っかかってくれたおかげで、こちとら国外への高飛びの準備もできた。金を落としてくれたのには感謝するよ」
成功の喜びに薄く笑いながら、彼はささやいた。室内に足を踏み入れると、床に目を凝らす。
血溜まりの中に浮かぶ、ネオンライトブルーの付箋を見つけた。自分が書いたものだ。証拠隠滅に長けた彼がとりこぼした、この場に残る最後の証拠。
「これさえ、消せば」
付箋を手の中で握りつぶすと、彼は、足元に残る死体に目を落とした。
この亡骸を乗り越え、大きく世界に羽ばたいていく。
そのためならば、自分は天使でも眠らせよう。
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