00 プロローグ

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00 プロローグ

 私の心は、凍っている。二度と溶けることはないだろう。  私は、誰も信じない。  私は、誰も愛さない。  そもそも…、  私は、愛というものを知らない。  だから、誰も寄せ付けない。  だから…、誰も寄り付かない。  それでいいと思う。私は何も困らない。  だって、人を慮る…、そのやり方がわからない。  人との接し方がわからない。  愛し方が…、わからない。  私は、心が死んでいる。傷だらけで、ズタズタのボロボロで。  癒えるよりも前に、次々とできる傷は、幾重にも重なり、  これ以上、受け入れることができなくなった。  すでに私の心は、これ以上の傷を抱えることができない。  だから、  私は、心を凍らせた。二度と溶けないように凍らせた。  既に僅かな隙間もない、傷だらけの心。  ギリギリの心を護るため、  人との繋がりを遮断する。  これ以上、傷が増えないように…。  そうすることで自分を護る。  孤独なことで自分を護る。  崖っぷちの…、自分を護る。  そうじゃないと、私という「個」を保てない。  私は、心を凍らせる。二度と溶けないように凍らせる。  でも、本当は………。
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