09 龍の守護

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 襲撃からしばらくして、  ようやく千鶴の両親が逮捕されることとなった。  本家の地下には所謂、監禁部屋と呼ばれる地下室がある。  千鶴の両親は、その日のうちに龍翔によって捕獲されていて、  その場所に、今日まで監禁され、監視されていた。  そこまでしたのは、千鶴にこれ以上近づかせないため。  余計な奸計を巡らされないように、  その時まで、目につくところで監視していた。  千鶴には知らせる必要はないと、龍翔がすべて算段し、処理した。  千鶴がこの件を知ることは、永久にないだろう。  やっと調べがついた警察から連絡があり、二人を引き渡した。  すでに余罪が複数あり、しばらく表には出てこられないとのこと。  事件が事件なだけに、報道でも連日、大々的に報じられた。 「…犯罪者の娘になっちゃった」  部屋で、その報道を見ていた千鶴が、ぽつりと呟く。  落ちていきそうになっている千鶴を、  龍二は抱き寄せて、 「犯罪者はあのクソ親だが、千鶴は千鶴だ。大丈夫」 「…」 「千鶴は綺麗なままだ」 「…」  千鶴が龍二の首筋に擦り寄ってくる。  龍二はその体をしっかりと抱きしめて、  落ちていかないように言い聞かせる。 「千鶴がクソ親の罪を背負う必要はない」 「…そうなのかな」 「そうだ。それに、千鶴は親父の娘で、厳ついさんたちが千鶴の兄弟だろう?あんなクソ親は、千鶴から縁を切ってやれ」 「…ぅん」 「それに、千鶴は俺のものだ。何があっても離さない」 「…はい。私も龍二さんの傍から離れません。ありがとう、龍二さん」 「ん、納得したか?」 「はい、何とか」 「よし」  親の罪を、千鶴が背負う必要はない。  龍二の言葉は、千鶴の心を軽くした。  千鶴の親は龍翔で、家族は厳ついさんたち…。  千鶴が実の両親のことで落ちていかないように、  龍二は、千鶴に何度も言い聞かせる。  千鶴の居場所は、龍二の隣なのだと。  千鶴は、その龍二の気持ちを嬉しく受け取った。 □◆□◆□◆□ 「龍二さん、気を付けて行ってきてください」  今日もまた、龍二たちは泊りの出張となり、  千鶴は本家に送り届けられた。 「…千鶴を連れていきたい」 「私はここで待ってますから、お仕事頑張ってきてください」  千鶴を腕の中に閉じ込めて、  なかなか離そうとしない龍二に、  千鶴は労いを伝える。  散々渋って、ようやく龍二が出かけた。  龍二を送り出すと、千鶴は、慎治たちと大学へ向かう。  講義が終わり本家へ戻ると、厳ついさんたちと一緒に過ごす。  この毎日の繰り返しが、幸せなことだと、  思わずにはいられない。  千鶴が欲しくても、手に入らなかった、  普通は誰もが手にしているであろう、家族の情。  龍二が与えてくれたこの縁を、  千鶴は大切にしようと、心から思った。
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