Trap

6/6
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
その夜、私は的場に抱かれた。 行為を終えた彼は、私を優しく抱きしめた。 「俺たち付き合わないか?」 それは私が何年も待ち続けた言葉だった。 「まさか、本気で好きだと思ってた?」 「え?」 「まだ気づかないんだ。顔も違うし仕方ないか。」 「知英?」 「じゃあ、ヒント!高校一年生の時、あなたが罰ゲームで告白した女の子は?」 「まさか...」 「あんたのせいで、顔まで変えたわ。でも、弄んだ相手に本気になるなんてね。」 私はベッドに座り込み、頭を抱えている的場を見下しながら言った。 「いいざまね。その相手を抱いて、告白までするなんて。」 「それは...」 「今更、無かったことにしないよね?」 私の言葉に的場は、顔を引き攣らせた。 そんな彼の顎を持ち上げて、私は告げた。 「これからも、よろしくね。」 私は的場に微笑んだ。 もう逃がさない。 あなたがしたように、愛したフリして、捨ててあげる。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!