17人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
忘れもしないあれは、高校一年生の夏。
私はクラスの中心に居た的場たちグループの暇つぶしの標的にされた。
馬鹿な私は、弄ばれてるとも知らずに的場に好意を寄せた。
そんな私を的場はあっさり捨てた。
「まさか本気で好きだと思ってた?」
彼はそう吐き捨てながら笑っていた。
私は拳を握りしめ、涙を堪えた。
こんな奴の為に、流す涙など私には無い。
この時、私は決意した。
的場に復讐してやると。
あれから10年目。
やっと巡ってきた絶好の機会。
当時と見た目が違う私に、的場は全く気づいていない。
名前は同じなのだが、それすらも覚えていないということなのだろう。
どこまでも、救いようのない奴だ。
「桜井さん、飲み込み早いね。」
「的場さんの教え方が上手なんですよ。」
私は的場に微笑んだ。
もちろん、本心ではない。
全ては私に好意を持たせるため。
的場を堕とすため。
最初のコメントを投稿しよう!