Trap

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忘れもしないあれは、高校一年生の夏。 私はクラスの中心に居た的場たちグループの暇つぶしの標的にされた。 馬鹿な私は、弄ばれてるとも知らずに的場に好意を寄せた。 そんな私を的場はあっさり捨てた。 「まさか本気で好きだと思ってた?」 彼はそう吐き捨てながら笑っていた。 私は拳を握りしめ、涙を堪えた。 こんな奴の為に、流す涙など私には無い。 この時、私は決意した。 的場に復讐してやると。 あれから10年目。 やっと巡ってきた絶好の機会。 当時と見た目が違う私に、的場は全く気づいていない。 名前は同じなのだが、それすらも覚えていないということなのだろう。 どこまでも、救いようのない奴だ。 「桜井さん、飲み込み早いね。」 「的場さんの教え方が上手なんですよ。」 私は的場に微笑んだ。 もちろん、本心ではない。 全ては私に好意を持たせるため。 的場を堕とすため。
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