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計画通り、的場とは仕事を通じて順調に親交を深めていた。
今後の業務の為に必要だからと理由をつけて、的場が連絡先を聞いてきたので、連絡先も手に入れることができた。
何度か食事に誘われたが、何かと理由をつけて断っていた。
すぐに手に入ると思われたら相手の思うつぼだ。
時は流れ、的場に愛想笑いをすることにも慣れてきた頃、私は部署の飲み会に参加していた。
そして、私の隣には当たり前のように的場が座っていた。
「知英、飲んでる?」
その頃には、許可した覚えは無いのだが、的場は私を名前で呼ぶようになっていた。
彼氏気取りなのだろうか?
図々しいにも程がある。
しかし、私は本音を飲み込み笑顔で返事をした。
「うん。これ美味しいね。」
すると、的場は私の耳元でこう囁いた。
「今夜、家来ない?」
私は、はいともいいえとも取れる曖昧な態度でその場をやり過ごした。
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