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飲み会がお開きになると、予想通り的場は私の手を握り、半ば強引にタクシーに押し込んだ。
この男、余程自分に自信があるのだろう。
断られると思っていないようだ。
私は冷めた心を隠しながら、彼の手を握り返した。
家に入るなり、的場は激しく私を求めた。
「んん...あぁっ//」
彼の唇が私の口内にねじ込まれた。
的場のキスってこうなのか。
声を出しながらも冷静な私が居た。
「知英、好きだ。」
唐突な的場からの告白。
私の脳裏に一瞬、昔の記憶が蘇った。
的場が好きだった。
信じていた。
なのに、私はゲームの駒でしかなかった。
鮮やかな記憶は、再び、的場への憎悪と化した。
さよなら、あの頃の私。
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