Trap

5/6
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
飲み会がお開きになると、予想通り的場は私の手を握り、半ば強引にタクシーに押し込んだ。 この男、余程自分に自信があるのだろう。 断られると思っていないようだ。 私は冷めた心を隠しながら、彼の手を握り返した。 家に入るなり、的場は激しく私を求めた。 「んん...あぁっ//」 彼の唇が私の口内にねじ込まれた。 的場のキスってこうなのか。 声を出しながらも冷静な私が居た。 「知英、好きだ。」 唐突な的場からの告白。 私の脳裏に一瞬、昔の記憶が蘇った。 的場が好きだった。 信じていた。 なのに、私はゲームの駒でしかなかった。 鮮やかな記憶は、再び、的場への憎悪と化した。 さよなら、あの頃の私。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!