〜アンドロイドの君へ〜

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 俺は彼女の身体をパソコンに繋ぎ、彼女の動作データを見てみることにした。  もちろんこれも初めてのこと。  前に初めて俺は彼女のデータを調べられることを知ったが、全てに自信がない自分。彼女の調子を俺自身がおかしくしてしまわないよう、今までそんなことをしたことがなかったからだ。  しかしこのことで、俺は初めて彼女の気持ちを知ることになる。  彼女の内部データに、以前に誰としていたのか俺には不明だった通話時の記録が残っていた。 『……お願いします、マスターのために私自身をアップグレードしたいのです。このままでは見捨てられてしまいます、どうか旧式の私を……』  これは彼女の中に残されていた音声データの一つ。  恐らくこのときの通話の相手は、彼女を作った会社の人間なのだろう。  しかし、彼女の言っていた『見捨てられる』とはどういうことなのか。  何故かその前後の彼女の通話記録も似たような内容だった。  この通話をしていた頃にはもうすでに、彼女と同じ型のアンドロイドのアップグレードはされなくなっていた。  そのため彼女の願いは叶わなかったのだ。  俺は彼女を初めから愛していたのに、なぜ彼女は“俺が見捨てる”などと言ったのか。 「……君を見捨てるなんて、俺に出来るわけが無いのに……」
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