〜アンドロイドの君へ〜

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 彼女との二人きりの夜のひととき。 「君は本当に可愛いよ!」  俺は上機嫌で、自分の腕の中の彼女を見る。 「お褒めいただいて光栄です、マスター」  彼女はやはり笑わない。  真意を確かめるかのように俺をじっと見つめているから、冷めているという訳では無いらしいが。  俺はサラサラとした彼女の髪を撫でながら思わず呟く。 「君も、俺と一緒にいることを喜んでくれたら嬉しいのに……」  すると、彼女は即座に立ち上がった。  そのあまりの早さに俺の思考が追いつかなかったほど。  そして彼女は自分の服を正し、俺に向かって頭を下げる。 「……マスター、おやすみなさいませ」  彼女はそのまま部屋を出ていった。  もう少しだけ、俺自身を見てほしいんだけどな……  俺の中の劣等感が膨れ上がっていく気がした。  俺は彼女にどうにか笑ってもらおうと、自分が考え付く限りのことを試すようになった。  彼女に笑顔が出ないのは、本当にただの故障か不備かもしれない。  しかしもし俺のしたことで彼女が笑ってくれたら、それは奇跡かもしれない。  休みのたびに彼女を連れ出して散歩、少し遠出して外で買い物。  残念ながら水族館やなんかのデートらしいところには俺の金銭的余裕が無くてなかなか行くことができないが、一応それらしくはできているだろうか。  それでもやはり彼女は笑わない。  楽しいかと尋ねても、「はい」と返事をするばかりだった。
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