自己嫌悪

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自己嫌悪

大学を卒業して、5年も経つのに今でもあのトラウマから逃れられない。 自分の思い込みと、愚かな勘違いから悪夢の様な1日になったあの日から、誰にも顔を見られたくないと一年の大半を山の窯場で過ごした。 その場所が一番心地よく、心のやすらぐ場所だった。 山にこもり人との付き合いを拒絶する。 そのくせ無性に人肌が恋しくなって山を下り、 唯一ゲイを共有している友を誘ってバーへ向かった。 店に入ると彼はすぐに相性のいい相手を見つけて一人残される。 それがわかっていても一人で来る勇気は無く、カウンターの隅で飲めない酒を舐めながら声を掛けられるのを待った。 それでもやはり自分には無理だと椅子から立ち上がった。 入り口のドアを開け、出ようと一歩踏み出す、入ってくる客とぶつかった。 慌てて頭を下げて無言で飛び出す、呼ぶ声を無視し夜の街を走った。 駅まで必死で走り電車に乗ってマンションへ帰へる。 惨めで浅ましい自分が情け無く、大きなため息を吐いて冷たい床に座り込んだ。 思い出すだけで恥ずかしい。 一晩だけの相手を探そうと、話しかけられるのを待つ自分・・・・・そんな相手と一夜を共にして得られる満足などあるはずがない。 わかっているのに・・・・・バカで愚かな自分! 次の日また山へ戻った、ひたすら土を捏ねろくろを廻し、釜に火をつける! 新しい作品は白い大きな壺、白い生地に紅い金魚を描きその横に一本の水草! 思った以上に気に入った。 赤い金魚が可愛らしく愛おしい。 山専門に荷物を運ぶ歩荷(ポッカ)には、明日の日付で予約をしてある。 翌日作品を頼み山を降りた。
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