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朝の行為
身体にのし掛かる腕の感触と温かな肌、横に眠る光輔の顔にホッとする。
ゆうべの自分を思い出す・・・・・誘われるままついて行き、アルコールを飲み光輔との約束を破り勝手な振る舞いをした自分。
せっかくの豪華なホテルも光輔の気持ちも何もかも無駄にした。
自分は伴侶としてパーティーに出席してしたはずなのに、何の役にも立てなかった。
光輔は夢を見ていた、ぬるりとした熱い感触が自分のペニスを包み、ゆっくり扱き始めた。
先端を舌で刺激し手と唇が上下に動き、次第に動きが激しくなっていく。
堪らなく気持ちが良い・・・・・呻きが漏れ腰が浮く。
動きは更に激しくなり、射精感に襲われ手が勝手に動いた。
ペニスを掴んだはずなのに・・・・そこにあったのは股間に顔を伏せる乙哉・・・・・頭を激しく上下させ、全体を舐めまわししゃぶる。
気持ちの良さに呆然としたまま、気がつけば乙哉の喉の奥に熱欲が迸った。
乙哉がゆっくりと顔を上げる、口からずるりとペニスが抜け白い糸を引いた。
心臓の鼓動は治らず、身体中を快感が駆け抜けた。
「おとや・・・・・」
「ゆうべはごめん」
「罪滅ぼしか?」
「違う・・・・したかった」
「したかった?」
「光輔が欲しかった・・・・・だから・・・・・」
「ゆうべのこと覚えてるか?」
「うん」
「俺の気持ちは?」
「わかってる・・・・・僕が悪かった」
「どうするかな・・・・・」
「どうするって?」
乙哉が不安な顔をする、こんな顔をされたら加虐的な気持ちになった。
心にも無い呟きが漏れた。
「許すか・・・・・それとも別れるか」
「別れる?」
乙哉の顔が歪んだ、信じられない物を見たように目は大きく見開き、みるみるうちに涙が溜まり溢れ出す。
流れた涙がシーツを濡らし、鼻水は口の中へ吸い込まれた。
鼻を啜りながら、喉の奥から嗚咽を漏らし光輔にしがみつく。
胸に顔を埋め肩を震わす乙哉!
軽い冗談のつもりだった・・・・・これほどショックを受け、全身を悲しみに震わせる乙哉!
乙哉を抱きしめながら、後悔に唇を噛んだ。
「乙哉!泣くな!お前と別れたりしない」
「・・・・・こうすけ」
「ほら!顔を見せろ」
乙哉が光輔から離れ、顔を上げた。
涙を溜め見つめる瞳に自分が写っていた。
乙哉と別れるなんて、冗談でも口にするべきではなかった。
乙哉を傷つけ心にも無い言葉で不安にさせた。
別れることなど絶対に無いのに、安易に口にした自分!
「乙哉!ごめんな」
「光輔・・・・ほんとに許してくれる?別れない?」
「あぁ!別れるもんか」
やっと乙哉が笑ってくれた。
胸がいっぱいになるほど嬉しい・・・・・
「乙哉!抱きしめていいか?」
返事を待たずに強く抱きしめる。
「痛いよ光輔」
「それくらい我慢しろ」
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