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変身
二人が服選びをする間、一人ソファに座って光輔ととらの関係ばかりを考えていた。
1時間ほどたって、大量の服や靴を抱えた二人が乙哉の前に立った。
「乙哉、フィッティングルームへ行こう」
いつのまにかとらにも乙哉と呼ばれ、フィッティングルームへ着いて行く。
当然後ろから光輔も着いてきた。
「光輔は待ってろよ」
とらにそう言われて大人しくソファに座る光輔………やっぱり仲がいい。
フィッティングルームでとらに着ているものを次々に脱がされ、ボクサーパンツ一つになった。
到底自分では選ばないようなデザインと色の服を着せられる、パンツは白いに近いベージュ、シャツの上からセーターを着せられ、裾はそのままセーターの下から出す、シャツの襟もセーターから出し、そこにはネクタイのようなスカーフを巻かれた、襟も立たせたままだ。
ソックスはピンク、靴はグレー、ジャケットに腕を通して完成。
一度脱いだら二度とは着れないような服を着せられ、光輔の前に立たされた。
「光輔どう?」
「最高!やっぱりとらは凄いよ」
「乙哉!鏡見たか?」
「見たよ………」
「すっかりモデル気どりか?」
人の気も知らないで浮かれる光輔に気付いたとらが光輔を呼んだ。
「光輔ちょっと………」
また一人残される。
一体自分は何のためにここに居て、こんな服を着せられているのか分からなくなった乙哉だった。
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