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とらと二階堂社長
光輔の車でモデルエージェンシーのあるビルへ向かう、都心にある瀟洒なビルの最上階が社長室になっている。
車を地下駐車場に止め、エレベーターで最上階へ。
エレベーターを降りると、光輔は何の躊躇もなく社長室と書かれたドアを開けた。
「二階堂さん、久しぶり」
「会長!どうしたんですか?」
「ちょっと君に逢わせたい人がいるんで連れてきました」
「逢わせたい人?モデル志望ですか?」
「どうぞ」
そう言われ、ドアの外で待機していた乙哉が部屋へ入る。
「おぉ~どちらのモデルさんですか?」
「どうです」
「うちに所属していただけるんですか?会長のお知合いですか?」
「いいでしょ」
「それにしても綺麗な人だ………あれ?………乙哉さん?」
「さすが社長!」
「それにしても驚いた、パーティーでお会いした時も驚きましたけど、今日はまた・・・・・プロのモデルにも滅多に居ませんよ・・・・・その服はもしかして大牙ですか?」
「わかります?」
「当然分かりますよ。いいですね。大牙の服はやっぱりいいな!」
「社長、あいつのことまだ諦めてないんでしょ。早く言えばいいじゃないですか。ぐずぐずしてると他の奴に取られますよ」
「………でもね、あいつには自由にしててほしいんです」
「こんな服作れる奴はいませんよ。二階堂さん………乙哉と俺見ててどう思います」
「羨ましいですよ」
「でしょ、あいつだって二階堂さんの事待ってますよ。早く言ってやってください」
光輔がなぜ自分にとらの服を着せ、二階堂社長のところに行ったのか、その意味がやっと分かった。
大牙さんと二階堂さんはずっと以前から知り合いで、どちらも好意を持っていながら、相手の事を尊重しすぎて告白するのを躊躇っていた。
それを何とかしようと光輔が一役買ったのだ。
結局、乙哉が変身する意味があったのかどうか………たぶん光輔が乙哉自慢をしたかっただけだろうと乙哉は思った。
それにしても大牙さんと二階堂社長の組み合わせが成立したら、お洒落なカップルになりそうだ。
大牙さんが女装したところを見たいと乙哉は思った。
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