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光輔不足
山へ来て13日が経った、堪らなく光輔に逢いたい。
だが今ここを離れるわけにはいかない、山を降りたところで光輔はまだミラノで日本にはいない。
せめて電話で声でもいい・・・・・そう思っても電話は勿論、ネットすら繋がらない。
作品が出来るまではまだだいぶ掛かる、急いで作れるものでもなく、乾燥には時間をかけるしか無い。
焦る気持ちで作品を駄目にする事など出来ない。
光輔が帰ってきても、ここにいる限りは逢えない・・・・・光輔はどう思っているのだろう。
逢いたいと思ってくれているのだろうか?
ミラノに同行したモデル達はみんな素敵な人たちばっかりだった・・・・・2週間も一緒にいたら・・・・・気持ちが混乱しあり得ない事が現実に思え、自分で自分を苦しめた。
心配と不安で作品なんて放り出して帰ってしまおうかとさえ思う。
でも、そんな事をしたら光輔は自分にガッカリするだろう。
恋愛にうつつを抜かし、大事な仕事を放り出すような男だと失望されたく無い。
逢いたい気持ちと、作品を仕上げる使命感の板挟みで心は千々に乱れ、夜になると夢にまで光輔が現れる。
夢でもいいから逢いたいとは願っても、夢に出てくればまた逢いたくて堪らなくなる。
泣きたくなるほど光輔に逢いたかった。
冷たい布団の中で身体を丸め、眠ろうと目を閉じる。
耳の奥がジーンとなるような静寂が訪れた。
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