下山

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下山

光輔の居た二日間、片時も離れる事なく求め合い貪るように抱き合った。 朝目が覚めた瞬間から、口づけが始まりそのまま熱く抱き合う。 食事を済ませシャワーを浴びればまた、熱が高まり身体が燃え上がる。 片時も離れたく無いと思う感情が絡み合い、離れる瞬間まで触れ合った。 疲れた身体を寄せ合い、抱きしめ合って目を閉じる。 目が覚めて眠る相手に甘いキスを落とす。 2日の滞在で残り2週間を補うように、とろける様な日々を過ごして光輔は下山した。 残された乙哉は、手付かずの二日間を補うように制作に没頭する。 深夜まで作業小屋で過ごし、疲れた身体でベッドに倒れ込む。 余計な事を考えないように、疲れるまで身体を酷使し、没頭した。 素焼きが終わり、釉薬をかけ本窯焼きされた壺に絵付け、その後上絵窯焼きでは800〜900度で焼成する事で色が変化し鮮やかな色彩になる。 淡い桜の花が黒い壺に浮かび上がり、妖艶な色香を醸し出す。 金文字で書かれた光の文字も舞い散る桜の花びらに隠れるように描いた。 完成した壺を厚手の毛布で包み、木枠の箱に入れる。 茶碗とマグカップと大小6枚の皿は古布に包んで、リュックに詰めた。 壺の運搬をプロに任せ、リュックを背負って下山した。
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