帰宅

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帰宅

駐車場に停めた車で実家へ向かった。 光輔にはメールで今日下山する事を知らせた。 週末だから、実家で光輔の仕事が終わるのを待った。 窓を開け放し、籠った空気を入れ替える。 ひと月の留守を実感する、締め切られた部屋はどこかかび臭い。 冷蔵庫に今夜の食材を詰め、昼ごはんは簡単に済せた。 庭に目をやれば沢山の桜が咲いていた。 本格的な春まであと少し、満開の桜を見ながら光輔と始めての花見をしよう。 窓からの風が部屋の中を吹き抜け、ソファに腰掛け久しぶりの自宅に身体も心もほぐされていくのが心地いい。 ウトウトと心地のいい眠りに誘われて目を閉じる。 人の気配で目を覚ますと庭に差し込む西陽を受け桜の木の下で佇む男の姿。 「光輔」 「もう満開だな」 急いで庭に出て光輔の横に並び満開の桜を眺めた。 「綺麗だね」 「出来たか?」 「うん、満足な作品ができた。ギャラリーに運んだから明日見に行こう」 「楽しみだ」
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