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お弁当
光輔を起こさないようにそっとベッドを抜け出し、シャワーを浴びてキッチンで朝食と一緒にお昼のお弁当の準備を始めた。
光輔との初めてのお花見は自宅の庭にシートをひいて、手作りのお弁当を食べながら二人だけで桜を楽しむ。
それがとても贅沢な時間に思えた。
庭は家の奥にあり通りからは見えない、シートに寝転んで桜を見るのもいい。
青い空とピンクの桜・・・・・二人並んで見上げる桜はきっとこれまでのどの桜より綺麗だろう。
二人分のおにぎりを作り、おかずと一緒にお重に詰めていく。
光輔の好きなおかずはなんだろう?
お弁当なんて、お花見なんて、光輔はやったことがあるのだろうか?
あったとしたら、誰とだろう!
出来上がったお弁当を紅い風呂敷で包む。
朝食の準備をして、光輔を起こしに階段を登った。
光輔は窓から外を見ていた。
「起きてたんだ」
「満開になったな」
「お花見しょう、お弁当も出来てるよ」
「弁当?」
「そう、お花見といえばお弁当だろ」
「そうなのか?」
「やった事ないの?お花見!」
「ない!」
「一回も?」
「あぁ」
「そうなんだ、じゃ今日は人生初のお花見だ」
「何するんだ?お花見って」
「何するって・・・・・シートに座って桜を見ながら弁当を食べるんだよ」
「・・・・・それだけか?」
「そうだよ」
「いいな!のんびりして」
「だろ」
光輔がふわりと微笑んだ。
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