指 ―あなたとわたし、ときどきママ―

ママの職場

なにもする気がおきないまま、ただ家にいる毎日。

そんなある日ママから、私が働いている会社で働いてみないかと言われた。

たまたま会社の人事の人に、そう言えば娘さんは元気にしているのですかと聞かれ、大学を辞めて家にいると言ったら、それならここでパートとして働いてみてはどうかと言われたので、是非お願いしたいと言ったらしい。

その人はママが本当に娘をパートにすると言うとは思っていなかったみたいで、呆気にとられていたそうだ。

私ももう勉強する気もなかったし、今までママが楽しそうに働いているのを見てきたから、罪滅ぼしのつもりで働いてみることにした。

なにより毎日無為に過ごすことにもう飽き飽きしていた。

働いてみて分かったのは、やっぱり私は体を動かしている方が向いているということ。

周りはママと同じくらいの年齢の人が多くて可愛がってもらえたし、女の人が多い職場で男の人といってもおじさんが多かったから、色んなことを気にせずに過ごすことができた。