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◯
「そうそう。昨日は結局、結衣ちゃんと会えなかったんだ。急に熱が出たらしくて」
デート当日の日曜日。
私は叶くんと二人で入ったカフェで、結衣の容態を知った。
やはりあのメモの通り、彼女は高熱を出したらしい。
私が願った通り、昨日のデートはキャンセルになったのだ。
ずっと待ち望んでいた、彼とのデート。
せっかくこうして二人きりでいるというのに、私の心はずっと虚ろだった。
「……大丈夫? なんか、元気ないみたいだけど」
彼に心配をかけたくなくて、私は何度も明るく笑ってみせようとした。
けれど、どうしてもそれが上手くいかず、ぎこちない笑みになる。
まるで私の体じゃないみたいだ。
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