*子供しかいない星*

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 とある星の森の中を、三人の人物が歩いていた。枝の隙間から、日がぎらぎらと照りつけている。緑の葉はしおれていて、土はからからに乾いていた。  この宇宙には、それぞれの星で育まれたいろいろな文明がある。彼らの目的は、賢い異星人を訪ねて廻り、新しい科学技術を地球に持ち帰ることだった。 「探査衛星の写真によると、この近くに村があるはずですが」  手元の画面を見ながら、天文学者が言った。  その時、遠くから花火のようなものが上がった。それは雲に打ち込まれて、大きな音を響かせた。  花火の打ち上げ元へ急ぐ。雲行が怪しくなってきた。息を弾ませ、工学者が言った。 「あの花火は、雨を降らせるための物だったらしい。天気を操れるくらいだから、きっと頭のいい人々に違いない」  土砂降りの中、小さな村に辿り着く。物陰から様子をうかがい、三人は目を丸くした。手作りの発射台を操作していたのは、地球人で言えば四、五歳くらいの、幼い男の子だったのだ。 「子供でも、あんな機械を発明できるんだ。この星の大人たちは、銀河系でいちばん賢いかもしれないぞ」  地球人たちはわくわくした。
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