○フケンゼンなケンゼン

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 静かだった。 トワという男に刺された?のだろうか 撃たれた?分からないがとりあえず自分の鼓動を感じる。 夢、だったのかな… ボクは仰向けで視界にはいつもの天井があった。 「良かった、見知らぬ天井じゃなくて」 1人呟いて身体を起こした。 間違いなくこれはボクの部屋。 実は何となく死んだのかと思っていた 「こんなリアルな夢なんて見るんだな」 カーテンを開けベランダに出てタバコに火をつける。 薄曇りの空と電車の音、ゴミ出しをするスーツ姿の人。  「異常ナシ」 そこにあるのはいつもの風景、何も変わらない日常の朝。 安堵したボクはスマホに手を伸ばしいつものホールチェックをする。 「今日はマルタンかな」 シャワーを浴び髭を剃りスーツを着て出発 駐輪場に入る時は少しヒヤッとした気がしたが特に気になることも無かった。 「抽選こちらになりますのでお並び下さい」 「あ、はい。有難うございま……す」 抽選列に並んだ時、違和感に気がついた 革靴。白シャツ。スラックス。ジャケット。 ネクタイ。髪は皆短髪で髭も剃られている。 (今日はエラくした人ばかりなんだな) 頭お花畑ですかボク。 思わず自分でツッコミたくなる。 そんなはずは無い。だってダラシなくて無職で何も努力せず酒とタバコに女に博打のゴミなのだから… 「これがキミの望むセカイでしょ?」 聞き覚えのある声に振り向く 「ね?これならタイサも満足だよね?」 そこには黒いスーツを纏ったリョウマさんが 微笑んでいた。
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