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「リ…リョウマさん!…えっ…あっ、何…えっと…何、ど…どういう…」
上手く言葉が出ない。
「ふふっ♪タイサでもそんな顔するんだね」
「どういうも何も…さ…、俺はただタイサの望むセカイを創っただけなんだけど。あ、全6とかは無理だよぉ?そういうんじゃなくて、ね」
いつもと変わらない屈託のない笑顔で続ける
「ほら、見てよ街中ミンナちゃんとした格好だし信号もちゃんと守る。ゴミ1つ落ちてないし凄いでしょ」
「………」
確かにそうだった。並びの列周りにすらゴミ1つ落ちていない。いつもは空き缶やタバコの吸い殻や読み終えた雑誌まで落ちていたのに。
ボクはそれが嫌で入場した後で片付けたりもしたのだけれど。
呆然とするボクをなだめるかのようにリョウマさんは頭を撫で続ける。
「俺は嫌いじゃないよ、タイサのそういう考え。だからそうしてあげた…どう?秩序正しいセカイ。気に入ったかなぁ」
まだ何が何やら…これも夢なのか。
皆ピシッとした格好、寸分違わず並んだ列、ゴミ1つ落ちていない街中。
小学生の列ですら入学式に向かうみたいな格好で手も足も揃えた行進のような登校班。
ーーーだけど
目の前にあれ程こうあればと望んだ光景が広がっているのにナニカがチクリとする。そんな気がした。
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