生贄先生と龍神様

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「あの、村が日照りで悩んでるのはわかるんですが、なんで村人は雨を降らせろって私のところにお酒と塩を持ってくるんでしょう。昔からずっと不思議で」 「それらは神様に捧げるものの定番なんですよ。特にお酒はいろんな国でよく見ますね」 「でもなぁ、塩もってこられても、ここ淡水だし。わたし、お酒も飲まないもんなぁ。元々ただの鯉ですし」 「鯉!それはやっぱり滝登りして今のお姿に?」  男の質問に龍はいやいや、と頭を振ります。 「そんな立派なものではなく、気づいたら、ですね。ずいぶん長く生きてるので」 「ええ?気づいたらでそんなに変わりますか?」 「特別なことではないですよ。あなた方も変わるじゃないですか。背が伸びたり髪の色が変わったり」 「なるほど、そういう感じですか」 「水棲生物は生きれば生きるほど大きくなって変体するものなんです。知り合いには元ナマズもいますし」  龍の言葉に男はうなずきました。 「ふーむ、そこでいくと哺乳類は腰が曲がったり毛が抜けたりして、小さくなるかもしれません」 「なるほど、小さく」 「あ、でもおそらくご想像されてるような小ささではありません。軟骨が擦り減るせいですから、せいぜい一回り変わる、くらいですかね。水辺の皆さんのようなスケール感じゃないです」 「ふむ。では、あなた方人類は長生きすると超自然的な力を使えるようになるんですか?見た目の代わりに中身が大きく変化するというか」 「いや、そういうのもないですけど」 「ええ!?」  驚いた龍が声を上げます。
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