雨よ降れ降れ

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今日も雨。最近は梅雨なのもあってずっと雨が続いている。窓の外を眺めている君はなんだか憂鬱そうだ。 「雨って嫌いなの。」 君から話しかけてくるなんて珍しく僕は目を丸くした。 「どうしてか気になるでしょ。」 少し謎めいた笑顔でいわれて気になった僕は 「教えてくれるの?」と無意識に聞き返していた。まるで罠に嵌ったようだ。 待ってましたと言う様な顔で君は話始める。 「私が雨が嫌いな理由は人を殺すてもバレないから。雨の日の夜って真っ暗で雨の音があって叫んでも誰も助けてくれない。それに血が出ても雨で流れちゃう。それにもし見つかったとしても雨のせいで生臭かったりしたら嫌でしょ?だから私は雨が嫌い。貴方もそう思わない?」 君が雨を嫌いな理由が衝撃的すぎて雨なはずなのに少し暑い気がするし、冷や汗をかいて寒気もする。そんな僕とは変わり君は笑顔だった。雨が少し強くなった気がした。 「もう帰るわね。これ以上雨が強くなる前に。貴方も雨が降っている夜には気をつけて。それじゃぁね。」 君は意気揚々と帰って行った。僕は雨が強くなり、帰ることに対して少し恐怖を覚えていた。だが帰らない訳には行かないので速歩で帰った。 次の日君は学校へは来なかった。僕はきっとそれを知っていただろう。君が発見されたのはその3日後だった。雨で血は流れていて辺りにはなく、生臭かったらしい。これは警察の人から聞いた。その後警察は僕が君を殺した証拠が見つかったと言って僕を少年院へ送った。 「これが、僕の体験した全てですよ。先生。」 目の前の少年は淡々と語ったまるでなんともなかったように。少年にとってあの少女は些細な存在だったのかと考えるだけで目の前の生物に腹が立ってきた。 「そうか。ありがとう。これからまた色々と僕とお話をするからよろしくね。」 今日は雨の強い日だった。
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