猫宮オブザデッド?

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猫宮オブザデッド?

「いきなりだがみんなに転入生を紹介する。今日からみんなと一緒にこのクラスで学ぶことになる猫宮亜里沙さんだ」 教壇に立った担任の本村先生が転入生の女子を紹介する。 ややくせっ毛のセミロング、雪のように真っ白な肌、ぱっちり開いた瞳、細身のスレンダーな体、控えめな胸も彼女の魅力に拍車をかけている。 優し気で余裕のある笑みと美貌にクラスの男子……いや女子までも目が釘付けになっていた。 もちろん俺だって女の子は好きだから好意を抱いている。 だけど……俺は確かな不気味さを感じていた。 「村井……なんかの冗談か?」 隣の席に座っている俺の友達の村井が眉をひそめた。 いつも通りの死んだ目であくびをする。 「なにが?」 「猫宮さんだよ。1週間前にこのクラスに転入してきたじゃないか」 「……あ?なに言ってんだお前。馬鹿なこと言ってないでちゃんと寝ろ。俺みたいに変人扱いされるぞ」 「マジだって。覚えてないのか?1週間前もこうやって先生が紹介してた!」 「わかったわかった。静かにしてろ。目立ちたいのか?」 俺は混乱した。 確かに俺は猫宮さんを1週間前に見たのだ。 それなのに……みんな初対面かのように振舞っている。 みんなで俺をかついでいるのか? でもそんなことしてなんの意味が…… 「えー、猫宮さんは話すことができない。だが耳は聞こえるのでみんなも遠慮せずに話しかけて仲良くなってほしい」 彼女が話せないことは知っている。 先生が過去に同じことを言ったからだ…… 一体どうなってる? 未だ整理のつかない俺を彼女はじっと見つめていた。 そして小さく、俺に手を振る。 いじらしい仕草に俺の心臓がドキンと動いた。 「よかったな。彼女の気を引けたぞ」 「ち、違う。俺はそんなつもりじゃ……」 ざわめく生徒たちをしり目に、まるで恋人のようなまなざしで彼女は俺を見つめているんだ。
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