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やっと階段を登り切ると、二年生の教室に続く長い廊下があった。璃空翔は七組だから教室はちょうど真ん中辺りだ。しかし璃空翔は教室を素通りして、廊下の反対側まで歩く。そこには非常階段の扉があるだけだが、璃空翔は躊躇なく扉のノブを回す。
ドアの先には非常階段の踊り場があり、今日もそこには璃空翔の机と椅子が一組だけ置いてあった。璃空翔は慣れた手つきで椅子をひっくり返して、机の天板の上に椅子の座面を乗せる。上に向かって突き出た四本の脚の間に鞄を置いて、両手でひょいと机を抱え、そのままの姿勢でのたのたと廊下を歩いて教室に向かう。
教室に入ると、璃空翔の机のあるべき場所がポツンと空いている。璃空翔がそこに持ってきた机と椅子を置いている間、クラスメートはみんな気づかないフリをしていたが、ただ一人副島宗直だけは、ニヤニヤしながらこっちを見ている。毎日璃空翔の机と椅子を非常階段に置くのは、こいつの仕事だ。抗議をしてもややこしく成るだけなので、璃空翔は宗直を無視した。向こうも毎朝早起きして、机と椅子を運んでいるのだ。ご苦労なことだと皮肉な気持ちに成る。
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