プロローグ

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 生徒たちが誰も反応しないので、須藤がイライラしながら璃空翔を睨む。 「尾上、こういうことを書かれると言うことは、お前にも責任がある。罰としてお前が消せ」  須藤は被害者である璃空翔が悪いと言って、犯人捜しをスルーした。それでも璃空翔は怒る気力が湧かない。璃空翔は顔色一つ変えないで、まるでさらし者のように黒板を消す。そんな璃空翔を無視して、須藤はホームルームを始めた。もう慣れっ子になってしまったが、璃空翔にとって救いのない一日が始まった。  翌朝も璃空翔は、強い陽射しにフウフウ言いながら登校して、しっかり朝のルーチンを行った。気怠い身体を引きずりながら、忘れないように黒板の悪口も消す。相変わらずクラスメートは、消してる璃空翔を空気のように無視したが、副島だけはニヤニヤして見ていた。  これだけしつこくやられれば、鬱病ぐらいには成りそうなものだが、不思議と精神が止むことは無かった。ただ無性に食欲が湧いて、太ってしまったのが、いじめの被害と言えばそうかもしれない。  いずれにしても効かないを繰り返す憲章たちが不気味だった。そろそろ最初の頃にされたような、強烈ないじめをされそうで、少し不安を感じる。
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