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エリーの話では、二週間後に行われるパーティーでフリッツはメラニーを伴い参加するらしい。
ティアリーゼの罪を公にし、すでに婚約破棄したことを宣言する予定なのだそうだ。
そのパーティーに招待されているのはメラニーの味方である殿方達と中立派の者達。
つまり、中立派を自分達の味方に引き込もうという魂胆だ。
だが、その面子ならばティアリーゼの冤罪を晴らす場としても有効だ。
それからはフロント商会協力のもと、パーティーへ潜り込む準備を水面下で進めた。
雑事は自分達がするからとエリー達には止められたが、自分の冤罪を晴らすのだ。
自分に出来る事くらいは自分でやっておきたい。
「悪役にされたのだもの。悪女らしく、裏で画策させていただくわ」
などと冗談っぽく口にして雑事も進んでやっていた。
その間ストラは基本的にはティアリーゼの側にいた。
用事があるのか側を離れるときもあったが、そういうときは常にピューラを置いていってくれる。
寡黙な神だが、態度や僅かな行動で自分を大切に扱ってくれていることが分かる。
そうして共に過ごしているうちに、ティアリーゼはストラに推し神という以上の感情を覚えるようになっていた。
ストラの妻となり、口づけも交わすような仲になるのならば良い傾向なのだろう。
ただ、何というか……。
(やっぱり、恥ずかしいわ)
恥ずかしいというか、照れるというか。
ストラと夫婦になるために今頑張っているのだと思うと、どうしようもなく照れ臭い気分になるのだ。
そうすると何もかも手を付けられない状態になってしまい困る。
「ダメよ、今は冤罪を晴らすことに集中しなくては」
頭を振って雑念を追い払い書類に向き直るティアリーゼに、側にいたピューラが不思議そうに「ピュイ?」と鳴いていた。
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