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ある日、突然呪われた。
ニュースで同い年の高校生が自殺したのは知っていた。テレビの中の現場は見覚えのある場所。
同い年でも高校は別。顔も名前も全く知らない奴。
けど、朝起きたら そいつ が胸の上に座ってた。
めちゃくちゃ驚いた。どうりで寝苦しかったはずである。そいつは言った。自分には復讐したい奴らがいるから手伝ってほしい、と。
協力してくれたら、成仏してやる、と。
いや、というか俺無関係じゃね。
なんで俺呪うんだよ、復讐したい奴ら呪えよ。
とは、思ったものの殺しとか犯罪になることはしない条件に手伝うことになった。
復讐する奴は5人。
それから、幽霊のそいつと協力(?)して、そいつらの素行を調査し、弱点なんか調べつつ、
そして、今、最後の1人に復讐してきた所だ。
とりあえず、あいつらの悪事はネットとかで公開してやったんで、社会的には終わったも同前だろ。
「それで、てめぇはなんでまだ成仏してねぇんだよ!!」
自殺して幽霊になったそいつは、今も俺の横でフヨフヨ浮いている。浮いているのに俺の肩は米俵担いでいるように重い。
「いい加減、取り憑くのやめろよ。俺を解放しろ!」
そいつは笑う。トリックの種明かしでもするように話始めた。
「俺が君に取り憑いているのはどうしてだと思う?だって君とは生きてる時は知り合いじゃなかったのに
それはね、
俺が落ちた原因は君のせいだからだ 」
あの日、俺はむしゃくしゃしていた。
ちょっとしたネタでからかわれ、それがクラス全体に広まってしまったのだ。
だから、俺は空き缶を鳩の群れに投げつけてやった。ただの憂さ晴らしだ。
集団で丸まって休んでいた鳩は空き缶に驚き、飛びたった。
ビルの上で最後の一歩が踏み出せないそいつに向かって。
俺は両耳にイヤホンをしていたから背後の騒ぎに気付かず家に帰った。
気付いていたら、違ったんだろうか
自身のちょっとした行為がまさか他人の命を奪ってしまうなんて
「ほ、本当にごめん、まさかそんな」
「ふふっ、謝ってほしい訳じゃないんだよ。
それに、僕はあの時死ぬ気で柵の向こう側にいたわけだし」
でもね、
きみにはこれからも
ぼくのこと忘れず、背負って、
生きてほしいんだ
「これから も よろしくね」
そいつは妖しく微笑んだ。
end
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