ないものに惹かれる人間の性

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「おはよーございます、委員長」 「……」 朝、SHRが始まる数分前の遅刻ギリギリの時間に、隣の席の彼はやってきた。 なにが、おはよーございます委員長、よ。 気安く話しかけてこないで。 挨拶を返したら、おまえが会話していい相手じゃないと罵られるのだから。 でもどうせ無視しても、きっと何かしらのやっかみはされるのだろうけど。 「なんだよ。無視すんなよ」 「……なら、最初から話しかけてこないで」 「はぁ? かわいくねーな。わかりましたよ」 かわいくなくて結構よ。 あなたみたいに顔がいい人種とは住む世界が違うんだから。 そもそも自分の見た目が下の下なのはわかっているし。 少しはマシに見えるように毎日化粧をがんばって、ようやく中の中くらいにはなっているけど。 それから程なくして、担任の先生がやってくる。 SHRが終わると、今日の1時限目の授業は生物のため、移動教室。わたしは教科書類を持って、先にトイレへ寄ってから生物室へ向かう。 すると、わたしを待ち伏せしている人物がいた。
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