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え。
この男、今、痕付けたよね?
最悪なんですけど。
「なんでそうやって拒絶すんだよ?」
顔は見えずとも、わたしが嫌がっていることを感じとったのか、彼はそう言った。
「あなたがひとの嫌がることを平気でするからでしょう?」
「本当は嫌がってないくせに」
「なっ」
「まぁ、いいよ。おれ、節度あるから今は離れてやっても。じゃ、先行くわ。委員長も遅れんなよ」
そう言って、ひっついていた体をわたしから離すと、彼はさっさと行ってしまった。
嵐が過ぎ去った後のように、辺りは静寂に包まれた。
な、なんだったんだ、今のは。
わたしは混乱しつつも急いで生物室へ行き、授業を受けたが、その内容が頭に入ってくることはなかったのは、言うまでもない。
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