ないものに惹かれる人間の性

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「よっ」 「え、なんで」 数日後の早朝、御門はわたしの家の前にいた。 どうして住所を知ってるのかも、こんなに朝早くにここにいるのかも恐怖だったが、ここまで執着してくることに却って感心してしまう。 「多少は引いてみようと思って、数日過ごしてきたけど、委員長を相手にするにはもっと強引に押すべきだと気づいたから」 「……」 「すきだ」 いつぞやとは違い、御門はわたしを正面から抱きしめる。 彼から、レモングラスのアロマの香りがする。 「すきだよ、玲華」 なによ。 なんでこういうときに、わたしのこと委員長じゃなくて名前で呼ぶのよ。 「……あなたはわたしのことがすきなわけじゃない」 「なんで?」 「わたしみたいなタイプの女子を、今まで見たことなくて、珍しいと感じてるだけだもの」 「そんなわけないじゃん」 「御門くんは、もっと従順なタイプのが似合うよ」 「うん。だから玲華がいいんだよ」 「わたしは……」 素直じゃない。 本当はうれしいと思ってるのに、いろんな意地が邪魔をする。
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