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アメリカのドラマで見るような
青い芝生の広い庭に
スプリンクラーがゆっくり回転して
水飛沫を煌めかせていた。
芝生の向こうに洒落たドアの大きな家
裏にちらちら
プールが見えるところもある。
そんな家々の並ぶ道を
見失わないほどの距離で
俺は夏歌の跡をつけた。
バス通りから
カラフルなガーデニングの家の角を曲がり
緩い傾斜を登っていく。
そこも次から次へと
凝った意匠の豪邸が
パレードのように現れる。
この数年、都内では
高層マンションが人気で高騰している。
しかし
こうして見ると
どんな美辞麗句で飾っても
縦に積見上げたマンションより
一戸建ての方が
人が暮らすに、豊かな住まいに思えた。
でも一方、
このパームツリーの街は
いきなり
映画のセットにでも迷い込んだようで…
平日の昼間
住宅街は人気(ヒトケ)がない。
庭で芝刈り機を押している老人を
1人見かけた以外、静かだった。
チェックのシャツに
デニムの小柄な老人は
多分その大きな家の住人なのだろうが
まるでハリウッド豪邸に雇われてる
日系移民の庭師のように見えた。
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