2 昔の女の今の姿

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夏歌は、今、どんな生活をしているのだろう どんな家に帰って行くのだろう そんな好奇心が むくむくと湧き上がる。 会社に戻っても 窓際に追いやられた俺には 今日中にしなければいけない仕事もない。 俺は夏歌の後をつけることにした。 夏歌は地下鉄を一回乗り換え 千葉の新浦安という 埋め立て地のターミナルで降りた。 そこから 路線バスで15分ほど。 俺もマスクをしたまま下を向き 気づかれないように後から降りる。 そこは 人工海岸に近い 大型の住宅地開発地だった。 バス停のアナウンスで聞いた地名は そうだ、聞いたことがある。 地価の比較的安い千葉の中では ずば抜けて高級住宅街ということで もう、10年以上前に 散々売り出していたではないか。 最近は中古物件も 高額で取引されていると聞いた。 確かに 広々としたバス通りには 両側にヤシの木が植わり 外国映画に出てくるような区画の大きな豪邸が ずらりと並んでいた。
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