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「とりあえず、どうしたら、私、殺されずにすみますかねー?」
神様がなにもしてくれそうにないので、ヒナは彼の前で、いろいろと考えてみる。
「そうだ。
雨だーっと叫びながら、このわずかな水を汲んで、空からまくとかっ」
淵の水たまりを見ながら、ヒナは木に登り、畑に向かってそれをまく自分をところを想像する。
「私が干上がるわ!
今は、このわずかな水にすがって生きておるのだぞ!」
「もしや、龍神様。
水がないと、雨を降らせるほどのチカラが出ないとか?
なんか本末転倒ではないですか?」
「お前は、ほんとうに無礼だな。
単に眠りから目覚めてあまり経っておらぬので、まだチカラは振るえぬと言っておるだけじゃ。
まあ、チカラさえ溜まれば、腕試しに村に雨を降らせてやってもよいのだが」
「あ、ありがとうございますっ。
このお礼は必ずやっ」
「気にするな」
「巫女もイケニエも嫁もいらぬのなら、小間使いにでもなりましょう」
「……ほんとうに気にするな」
かえって面倒くさそうだから、と龍神様は言う。
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