巫女の姉が逃げたので、代わりに雨を降らしに行ってきます

17/31
前へ
/31ページ
次へ
   龍神様は龍神様になった。  人型から、龍の形になったのだ。  銀色のウロコを持つ龍の背に乗り、ヒナは空を飛ぶ。  高いっ。  風が強いっ。  星が綺麗っ。 「ツノをつかむなっ」 「だって、持つとこないんですっ」 「私に抱きつけばいいだろうっ」 「それは照れますっ」 と風を避けるように身を屈めながら叫ぶと、龍神様は沈黙した。 「……照れるのか」 「照れるんです」  そう呟きあったとき、森の切れ目から、走っている姉、シノの姿が見えた。 「おねーさまーっ」 と空から呼びかけると、姉は、ぎょっとしたようにこちらを見上げる。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

515人が本棚に入れています
本棚に追加