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いやいやいやっ。
あなた、いつも、母の連れ子の私は家族じゃない。
赤の他人だとか言っているではないですかっ!
なんで突然、血のつながりもない私にあなたのチカラが移動するんですかっ?
村人たちの末席に、ちんまり座っていたヒナは後ずさる。
だが、長年、みなに傅かれてきた姉は説得力のある言葉で語りつづけた。
「私は気づいていました。
ヒナこそが真の巫女です。
その証拠に、ヒナには明日の天気が読めますし」
おお、確かに、とみながどよめく。
いやいやいやっ。
それは単に西の空の具合を見てるだけですよっ!
昔、お父さんに天気の見方を習ったからっ。
ヒナの実の父は漁師だった。
だが、お父さんに習ったんで、とは、そこそこ良くしてくれている義理の父の前では言いづらい。
ヒナは救いを求めて、義父を見たが。
洋装をまとったら似合いそうな、苦み走った男前の義父は、うむ、と深く頷き、
「一理ある」
と言い出した。
ないですっ。
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