巫女の姉が逃げたので、代わりに雨を降らしに行ってきます

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   干上がって岩肌の覗く淵。  水たまり程度にしか残っていない水の中から、長い黒髪に青白い肌をした美しい男が湧き上がってきた。  あの少ない水から、こんな大きな男の人が出てくるとか。  絶対に、ただものではない。  これが淵のヌシ様だろうか。  そう思ったヒナはこの麗しき男に訊いてみた。 「あの~、私、この近くの村人なんですけど。  日照りつづきで困っています。  なにをしたら、雨を降らせてもらえますか?」 「雨を降らせろとな?  私にそのようなチカラはない」  麗しき男は、そんな、どうしようもないことを言う。  麗しいだけのようだ。
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