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Jは親指に歯をあてて、ぷつっと血を出した。
そしてその血を水竜の頭になすりつけた。
次にささやいた。愛おしそうに優しく。
「起きろYO、相棒」
すると水竜の目がカッと見開くと、
身体を伸ばし、ゆっくりとその巨体を動かした。
どう考えても卵に巨体が収まっていたとは考えにくい。
その水竜は人を乗せられるほど大きくなっていたのだった。
雨は止む気配を見せない。
「それじゃぁ、Dの旦那に案内人さんYO
俺はこれで失礼するYO」
「J、どこへ行くんだ?」
私が問いかけると
「へへ、人間のいない水竜の世界でさぁ」
そうJは応えると、水竜に飛び乗り去って行った。
それはもうあっけなく。
『・・・・』
私と案内人は顔を見合わせた。
それからどの位時間が経っただろうか。
雨は止み、陽射しが戻ってきた。
私はふと水竜の卵があった場所を見た。
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