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放課後の屋上に日和、樹、祐生、和泉の4人が顔をそろえた
日和は樹の後ろに隠れるように立っていた
なんとも言えない空気の中、祐生が口を開いた
祐生:「桐谷、あの時は悪かった。オレしょーもないガキだったんだ。本当にごめん」
そう言って祐生は頭を下げた
樹:「日和どう? なんか言っときたいことある?」
フルフルと日和は首を振った
樹:「よし、じゃあこれでお互いわだかまりなくってことで…」
和泉:「ちょっと待てよ、わだかまり大アリだ! 日和、このままでいいのか? まだ自分の気持ちなんも言ってねーじゃん」
日和:和泉くん?
樹:「ちょっと小林くん! 日和、無理しなくていいんだよ」
日和:樹くん、私に無理させないように気遣ってくれてる
…でも、東屋くん謝ってくれたのに…きっとこのままじゃ何も変わらない
日和:「わ、私…私あの時からかわれてすっごく嫌だった」
祐生:……
日和の言葉が祐生の胸に突き刺さる
そんな祐生の顔を見て、日和は言葉を続ける
日和:「こ、言葉が出ないこと、最初にからかったの東屋くんだった。それから他の子にも言われるようになって…でも樹くんが助けてくれて、その後も和泉くんや大切な仲間に支えられて、おかげでこんなにしゃべれるようになったんだ。だから…だからもう大丈夫、大丈夫だからね」
日和は樹の後ろで樹の服を掴みながら、精一杯自分の気持ちを吐き出した
樹は振り向き、日和に優しく微笑む
和泉:「よく言った、日和」
和泉は満足そうに笑っていた
祐生:「桐谷、ごめん。ありがとう」
祐生の強面の顔も少し緩んでいた
樹:「今度こそわだかまりなくってことでいいね?」
日和はコクンと頷いた
祐生:「ああ」
樹:「この後僕はちょっと東屋くんに話したいことあるから、日和教室で待っててくれる?」
祐生:「あ、ずっと気になってたんだけど、オレ東屋じゃなくて今は水本、水本祐生ってんだ」
樹:「水本くん……んーピンとこないな、祐生くん…じゃ祐生」
祐生:「ああ、それで頼む」
樹:「日和、すぐに迎えに行くから」
樹はドアを開け日和を帰らせた
和泉:「オレも部活行こ」
日和の後を追う和泉
和泉:「日和、よく頑張ったな」
日和:「和泉くんのおかげだよ、ありがとう。和泉くんが背中押してくれたから、私自分の気持ち言えたんだよ。ありがとう」
和泉:「おう、だけど謝られたからって、あんな奴と関わんじゃねーぞ」
日和:「…う…ん」
祐生:「先輩、あんたのおかげでやっと桐谷に謝ることができた。礼を言う」
樹:「…祐生、キミ昔日和のこと好きだったよね?」
祐生:!! そういえばこの人昔もそんなこと…
樹:「好きだから意識してほしくてちょっとからかったら、他の子もからかい始めて止めるに止められなくてどうしょうって」
祐生:「……っ」
樹:「図星かな、でも今は好きじゃないもんね! もしまた泣かせたらただじゃ置かないよ。2度目はないからね! だから絶対に日和に手を出さないでね」
祐生:……
返す言葉が出てこない祐生を置いて屋上を後にする樹
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