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なんか音がするな…とはずっと思っていたけど、その正体がまさかリビングに設置された、複数ある巨大液晶パネルから出ているものだとは想像もしてなかったのだ。
どれも蒼真さんの背丈くらいある…。
「なんですかこれ…」
「藤子さんの幼少期から現在までの選りすぐりの写真、そして映像をスペシャルソングと共に映した巨大液晶パネルですっ!」
「お…おぉ…」
とにかく反応に困ってしまった。
数えてみると全部で五つある巨大液晶パネルは、窓の前、ソファーの両サイド、壁や棚の前に並べられ、どこに居てもそこに映る私の姿を視界に入れてくる。
「どうしてパネルを…?」
「お誕生日ですから!」
最初は意味がわからなかったけど、数秒してからそういえばと気づく。
人気アイドルの誕生日とか、こんな風にパネルに映してお祝いしてるのを見たことがある。
でも私は一般人だし、家にこんな大きなパネルを何個も設置するなんて大袈裟じゃないだろうか…。
その他にも桃色と藤色、白色の連なった風船や、小型のミラーボール、リボンなんかも壁や天井を飾っている。
私はA4サイズが5枚分でいいと言ったのに。
変態的なお金持ちの発想ってやっぱりわからない…。
蒼真さん、これはちょっとやり過ぎでは。
そう伝えるべきな気がして振り返ったが、蒼真さんは朝食の準備をウキウキした足取りで始めていた。
なんだか愉しそうにしているから注意するのも気が引ける。
家の中だけだしとりあえずいいかと気を取り直して、蒼真さんに勧められるまま私はダイニングテーブルの椅子に腰を降ろした。
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