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空気を読んでくださらない雷神様
仁科蒼真 視点
それは夢のようなひと時だった。
僕が徹夜で仕込んだブルーベリーマフィンや、愛を込めて淹れた紅茶を喉に通してくださる僕のプリンセスを眺めながらの朝食は、控えめに言って極楽園。いや、天国!
スイス在住刺繍職人のポムさんと、ドイツに住むドレス職人のアマンダさんに多額の報酬金を渡し特注されたコラボレーションドレスをお召しになった藤子さんの、なんと美しいこと!
お金持ちで良かったとこの時ばかりは思ってしまった。
朝食時は随時鼻の下を伸ばしながら藤子さんに紅茶を入れたり、フルーツを切って差し上げたりとあれこれお世話をさせていただいたので、「なんか、本当にお姫様にでもなったみたいです」と照れた藤子さん。
ああっ!可愛らしかった!
貴女は本当にお姫様です!
僕の、僕だけの、ロイヤルプリンセスフォーエバーですっ!
「今日は藤子さんのお誕生日ですからね。お姫様の日です」
僕がそう告げると、部屋の数か所に隠しているカメラでひっそりと撮影していることを今すぐ懺悔したくなるほど高貴な笑顔を見せられた。
ふぁああーっ!申し訳ございません藤子さん!
盗撮はもうするまいと決めていたけど、ご生誕祭は特別に例外なんです。
あとで念入りに編集して、必ずや超大作にしますから撮影させてください!撮影します!
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