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「藤子さん、いいですよ」
そうして両目から布を取ってみると、いつ用意したんだと思うような大量の料理や飲み物がダイニングテーブルに並び、朝にはなかった特大ミラーボールが小さなミラーボールと共に輝きながら回転していたのだ。
どうしたのか訊いてみると、訪問者をもてなそうと準備しているとか。
訪問者については聞いていなかったので尋ねると、なんと両家の家族と坂本さん、田辺さんを招待したとのことだった。
「本当は蓬田家の皆様だけ呼ぶつもりだったのですが、僕の家族や例のあの二人がどうしてもと言うので」
「そうだったんですね」
そうして20時ちょっと手前、一番最初に我が家に到着したのは私の両親と弟の利宗だった。
「藤子!来たぞ!」
「お姉ちゃん!おめでとう~」
リビングに案内すると特大パネルやミラーボールの存在に度肝を抜かれた様子だったけど、蒼真さんが料理や飲み物を勧めると早速食らいついていたので、お腹を空かせていたのかもしれない。
とりあえず利宗と大学生活について話していると、お母さんが突然背後から私の肩を揉んできた。
「藤子~。なんかお部屋が高級クラブみたいになったわねぇ」
そう言われて思わず苦笑い。
確かにキラッキラに煌めているので、どこかのクラブのような雰囲気がある。
「あの液晶パネルもすごいよね…」
「蒼真くんに幼少期の写真をデータで送ってほしいって言われた時はアルバムでもつくるのかしらって思ってたけど。こういう使い方をするなんてね。ホントに派手ねぇ~」
「お母様、その節はお世話になりました。僕が見たことのない幼少期の写真まであって……、眺めているだけで幸せな気持ちになりました」
「そう~?少なかったらどうしましょうって気になってたのよ」
「確かにもっとあっても良かったですが、どれもこれも可愛らしかったです。お母様のDNAの賜物ですね」
「まあやだわぁ~、DNAだなんて。ほほほ~。藤子、本当に心までハンサムな人と結婚したわねえ」
「お母さん…」
蒼真さんが私の母の心をすっかり鷲掴みにしたところで、坂本さんに田辺さん、そして蒼真さんのご両親とご兄弟も次々と家にやってきた。
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