美しい罪人

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美しい罪人

仁科蒼真 視点  理性が崩壊し飛びつこうとしたが。 「でもやっぱり、罪人は一度逃げないといけないですよね」  少女のような笑みを浮かべて藤子さんが急に駆け出した。  そうですか!そうですか藤子さん!僕と本格的な逮捕ごっこをしたいのですね!わかりました!わかりましたよ藤子さん!  僕は全力であなたを逮捕しますからね!  そうして僕も立ち上がり、相棒の将軍様と共に美しい罪人を追いかけた。 「藤子さん!逃げても僕が捕まえますよ!」 「怖い~っ」 「怖いなどと言って顔は喜んでいるではないですか!ぼ、僕に逮捕されたいんですね!」 「違います~っ!きゃあっ」  あっさりと僕の腕の中に捕まった甘い香りを放つ罪人の耳元へ「確保」と囁いた僕は、そのまま彼女を担ぎ上げ、取調室という名のベッドルームに連れて行くのだった。  こんな日もあろうかと買っておいたおもちゃの手錠を取り出すと、一時はドン引きしていた藤子さんも「こ、今夜だけならいいですよ…」と自ら両手を差し出してくださったので、警察になりきっていた僕は悶絶するしかなかった。  そうして僕は美しい罪人、藤子さんに数々の取調べを行うのだった。
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