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「…とにかくですね、藤子さん」
「は、はい」
「藤子さんを驚かせるような飾り付けを考えていますから、眠りませんか?」
「…そんな大掛かりな飾り付けをするつもりなんですか?」
「それなりに…、ですかね」
「シンプルでいいんですよ?A4サイズの紙にハッピーバースデーって書いてるような、それくらいでも大丈夫です」
僕は刮目した。
A4サイズ!?
A4サイズに藤子さんがこの世にお生まれになられた奇跡を祝したい僕の気持ちがおさまると思っているのですか!?
僕は世界中の道路に『藤子さん!お誕生日おめでとうございます!生まれてきてくれてありがとうございます!』とペンキで書き詰めても足りないくらいなのに、それをA4サイズに収めるなんて……!
で、できっこない!できっこないですよ藤子さん!
僕の苦悩に満ちた顔を見た藤子さんは「じゃ、じゃあ…A4が5枚くらいで…」と言うので、僕は「善処します」とは答えたが、誠に申し訳ないのですが善処するつもりはなかった。
ここは…どうしても…譲れないのです藤子さん!
「ところで、やっぱり今寝るのは早いですか?早いですよね…」
「うーん、いえ、そんなこともないですよ。昨晩、ほら、…寝るの遅かったじゃないですか。だから、ちょっと、疲れてる感じもあって」
言いながら段々と恥ずかしそうにする藤子さんに、僕の将軍様がうっかり飛び起きるところだった。
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