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「おはようございます、藤子さん」
「お、おはよう、ございます。…蒼真さん、いつからそこに?」
「深夜からずっとです」
「え…?寝てないんですか?」
「藤子さんのご生誕日になったのに眠っていられるわけがないです。僕は日付が変わったその瞬間からご生誕を祝うつもりだったんです」
蒼真さんが何を言っているのか理解するのに暫く時間を要した。
よく見てみると、蒼真さんの手には『藤子さん!お誕生日おめでとうございます!』と書かれた私の写真付きのピンク色の旗と、カメラがあった。
それだけで日付が変わった瞬間から蒼真さんが何をしてたのか把握してしまったけど、まだ眠さが残ってるせいか、ツッコむ気にはなれなかった。
「藤子さん、起きますか?」
「そうですね。顔を洗いに…」
言いながら身を起そうとすると、突然頭を撫でられたので口が止まる。続いてそっとおでこにキスをされた。
その不意打ちがくすぐったくも甘くて、ついつい照れてしまう。
恥ずかしさもあって目を瞑ってしまうと、急に布団が捲られ、驚いている間に肩と膝裏に蒼真さんの両手が通り、持ち上げられる。
「うわっ」
突然のお姫様抱っこで私の眠気は一気に飛んで行った。
「僕が洗面所までお連れしますよ」
「えっ!いいですよ、自分で行けます。お、重いし…」
「何を言っているのですか。藤子さんはまるで妖精の羽のような軽さです。さあ、参りましょう!」
結局何か言い返す間もなく、私は寝室を出てすぐにある洗面所に連れていかれた。
なんだか、今日の蒼真さんは朝から謎の気合いが入っている気がするし、変態的な雰囲気が増している気がする。
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